「これ、返そうと思って」
「何だ、それ?」
平沼は、小さな紙袋の中から、遠慮がちに何かを出した。
「わぁ、俺のユニフォーム??」
「そう。これ、ずっと返せなくて」
「もういらないから捨ててくれていいのに」
「だめだよ!このユニフォームには、新垣君の青春が詰まってるんだから。これ着て、いっぱい輝いてたんだよ」
瞳をキラキラさせて、平沼は俺を見つめた。
「実はさ・・・・・・思い出が欲しくて、こっそりもらってたんだ。ごめんね」
「いや、いいよ。全然知らなかったし」
懐かしい色。
濃い青色のタンクトップに短パン。
青春が詰まってる・・・・・・か。
そうだな。
手に持ってみると、思い出す。
いろんなこと。
これを着て、県大会で記録を出した。
これを着て、最後の大会の後に、みんなで泣いた。