『おい、新垣~!お前と話したいって子がいるからこっち来いって』





『もう俺飲めないよ。フラフラだって』






そう言いながらも先生は席を移動しているようだった。








何度も切ろうと思ったけど、切れなかった。






先生がどんな声で、何を話すんだろうと思うと、怖くて仕方がなかった。





先生の全てを知ることはできない。




知ってはいけないんだ。





今は、先生の時間。






私が知っちゃったらだめなんだよね・・・・・・







「直、大丈夫だって~!」




「うん。わかってる・・・・・・」






ゆかりが私の肩を抱いてくれた。








『そろそろ俺、帰るぞ』





『せっかく久しぶりに集まったんだから、もっと付き合えよ』









そこまで聞いて、私は電話を切った。







先生は、“そろそろ帰る”と言ってくれた。






だから・・・・・・


大丈夫。







きっともうすぐ電話がかかってくる。