「旦那に裏切られたら俺んとこ来いって言おうと思ったけど、やっぱりだめだな」
沙織が大野さんと盛り上がっている時に、小さな声で豪太が言った。
「子供が生まれるんだから、簡単に別れちゃいけない。子供の為に、旦那さんのこと信じて、しっかり話し合って、何でも乗り越えていけよ」
「豪太・・・・・・」
「お前ならそれができる。俺への気持ちを封印できたんだから。ははは」
「またそんなこと言って」
豪太の言う通り。
これから、私はもっとしっかりしなくちゃいけない。
やきもちやいて、家を飛び出したりしたこともあったけど、そんなことはもうできない。
先生を信じて、自分を信じて、子供を守る。
「お前、絶対にいい母ちゃんになると思うぞ。自信持て」
少し酔っ払った豪太に手を握られた。
「これは友情の握手だ。いいな?」
「うん」
私と豪太はがっしりと握手をした。
お互いにスッキリした。
これで、友達、だね。

