「ブロッコリー食え」
私のお皿にブロッコリーを乗せてくれた豪太。
「あ、うん。ありがとう」
「ブロッコリーは体に良いんだから」
ぶっきらぼうにそう言った豪太。
私は、豪太に特別な感情を抱いた。
会いたい、話したい、知りたいと思ったこともある。
それを“浮気”だとするなら、私は浮気をしたことになる。
要君や大野さんへの気持ちとはやっぱり違っていた。
オレンジジュースを飲みながら、そんなことを考える。
豪太のごつっとした手を見つめる。
豪太のお酒を飲んだ後の“ハァ~”って声に耳を傾けてしまう。
豪太、
豪太、豪太。
最後だと思うと、豪太のいろんな部分を観察してしまう。
今は好きじゃない。
過去も、好きだったわけじゃない。
少し、ドキドキしただけ。

