「感謝してます。未成年の娘さんに申し訳ない」





親父が謝ると、お父さんは、首を横に振った。






「とんでもない。和人君のおかげで、我が家は救われたんですから。聞いてるかどうかわかりませんが、直の姉はひどく荒れてましてね」





直のお姉ちゃんに初めて会った時のことを思い出した。



鋭い目をしていた。



いい先生に出会えなかったと言っていたが、もしも学生時代に出会っていたら俺は何か力になれたのかな。







「和人君が、我が家をひとつにしてくれました。本当に感謝してますよ」








親父とお父さんは何度もお礼を言い合い、俺は間に挟まれて、その様子を見ていた。






俺は幸せ者だな。



こんなに愛されて。






直。



直のおかげだよ。






直が俺を変えてくれた。



救ってくれた。






結婚しても変わらない。



直への想い。