黙っている俺の肩をコツンと突っつく親父。




「なんだよ」


「良かったな。直ちゃんに出会えて」




そんなことを言うもんだから、俺も語りたくなってしまった。





「直のおかげで、俺の人生は変わった。直に出会っていなかったら、俺はどうなっていたんだろうって思います」





3人は、窓の外の大きな木を見つめていた。


ライトアップされた木はとても美しかった。






「和人にも悪いところはあった。だけど、彼女はひどかったよ。和人はもう一生結婚しないと思っていたし、心を閉ざしているように見えた」





親父とこんな話をするのは初めてだった。




あの時、俺は相当落ち込んでいて、あまりそのことについて話していなかった。



その後は、あの一件がなかったかのように、両親共にその話題を避けるようになっていた。



俺自身も思い出したくなかった部分もある。



だけど、やっぱり七緒のことは大事だし、会いたいと思った。