「もう、私達のことは気にしないでね。もっともっと幸せになってね」






江美さんはそう言って、七緒ちゃんと旦那さんの元へ走って行った。






涙が溢れた。



止めようと思っても止まらなくて、階段にしゃがんだまま、ひざに顔をくっつけて泣いた。





いい子ぶっていただけかもしれない。



正直に言うと、やっぱり辛かった。




先生に娘さんがいると知った時、


辛くて辛くて、怖くて怖くて仕方がなかった。






七緒ちゃんのことをかわいいと思うことができたのも、数年経ってからだった。





七緒ちゃんとそのお母さんである江美さんのことは、いつも心の中にあったし、気にしていないと言えば嘘になる。









先生に子供がいる。






そのことは、やっぱり重荷だったんだ。