「でも、ずっと大事に思っているからって和人は言ってくれた。あなたも同じように思ってくれているってことも聞いて、本当に嬉しかった」
「もう、七緒ちゃんには会えないんですね」
寂しいと思った。
なんだろう。
この気持ち。
「そんな風に言ってくれるなんて、あなたは変わった人ね。普通なら、私や七緒をうらんでもいいのに」
遠い目をした江美さんは、ゆっくりとうなづいた。
「そうね。そういう人だから、和人が好きになったのね。うん。そういうことか」
私は何も言えないまま、江美さんの横顔を見つめていた。
綱引きの応援の声が遠くから聞こえる。

