「同居って言われた時に、直はOKしちゃうんじゃないかと思った。人の気持ちばかり考えるところがあるでしょ?だから、ちゃんと嫌だって言えた直は、えらかったなと思う」
そんな風に言われちゃうと、複雑な気持ちになっちゃう。
でも、嬉しい。
私、間違っていないよね?
「人の気持ちを考えるのは素晴らしいことよ。でも、自分の気持ちだって大事にしてあげないと、いつか疲れちゃう。ちゃんと自分の心の声にも耳を傾けなくちゃね」
「うん。先生のおかげかもしれない。自分を大事にできるようになったのは」
「そうね。先生は、本当に優しいから。だから、今回のことも大丈夫だとは思ってるんだけどね。直が自分を責めていないか心配なの」
さすがお母さんだね。
私のことよくわかってる。
私を生んで育ててくれた人だもん。
なんだか、涙が出たような気がしたけど、お湯が顔にかかったので、どっちかわからない。
「あとで、先生のお母さんともちゃんとお話できるといいわね」
お母さんはそう言って、先に別のお風呂へと移動した。
うん。
ちゃんと向き合いたい。
話したい。
大事な人だから。