「正直、普通の関係じゃねぇなと思うに充分な涙だったな。そうかあ。お嬢ちゃんのご両親は、高利貸しの旦那に借金したまま亡くなっちまったのか。そいつは無念だったろうなぁ!」
「大事な娘を借金のカタに嫁っこにされちまうんだからな~浮かばれねえなあ」
「旦那、悪徳高利貸しから足を洗え! 今すぐに!」
誰が高利貸しだ。
俺か?
しかも、何だそのでたらめな作り話は!
誰が借金のカタに娘を嫁にしたという。
俺が?
酔っ払いのたわ言など、本気で相手をした方が負けだ。
それに、いちいち説明して身分を明かすのもどうかと思う。
ここは黙って解放されるのを待つことにする。
「あのお嬢ちゃん、年はいくつだい?」
「十七」
「若っ! 幼な妻じゃねーか! ちくしょう、うらやましいぜ!」
「だから妻ではない」
酔っ払いは、あまり人の話を聞いていないというのは本当らしい。
