「あの子はちゃんと帰ってくる……。それも遠視なの、リディアンナ?」
「さあ、どうでしょう?
わたくし叔父様を信じておりますから、
視る必要がないと判断いたしましたの。
ですから、そこから先は視ておりません。ねぇ、叔父様?」
リディアンナも安堵したように微笑んで応え、こちらに目配せを送ってきた。
ここは任せて早く行け、という事なのだろう。
急ぎ、外套(がいとう)を羽織り部屋を飛び出した。
「恩に着る、リディ」
齢十三の姪っ子には、いつも頭が上がらない。
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館から馬を飛ばして大よそ一刻後に、ガジルールの港町に着く。
街中では馬は飛ばせない。
預かり屋に任せて、港までは走った。
辺りを見渡すと、ふらふらとおぼつかない後姿を見つけた。
大きなショールを頭から被っているが、間違いが無い。
商工会議所の建物へと入って行った。
もちろん、追いかけた。
「この船はどこに行くのでしょうか?」
―――この馬鹿!
乗船券を求めるついでに、行き先を確かめる娘に思わず怒鳴りつけていた。
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