我が家の庭園に現れた奴のマントが、不自然に膨らんでいる。

 そもそも、こんないい天気の日にマントで前面を覆うようにしている辺りで怪しい。

「やあやあ。こんな所で優雅にお茶会かい? 確かに天気もいいしね」

「まあ、スレン様。いらっしゃいませ。今、お茶をご用意しますね」

「ん。熱めで頼むよ」

「スレン、何しに来た」

「相変わらずつれないなあ、レオナル」

 ニヤリと笑うこいつに警戒するなというのが無理な話だ。

「ええと。スレン様はその、マントの下に何を隠してらっしゃるのでしょうか?」

「レユーナ」

 相手にするなとたしなめるよりも早く、妻は尋ねていた。

 スレンの瞳が嬉しそうに輝く。

「ふっふっふ~。よくぞ訊いてくれたね、フルル!」

「まあ、なんでしょう?」

 スレンが大げさにマントを払いのけた。

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「どうだい、見てよ! 僕の、僕とリディアンナとの赤ん坊だよ!」

「スレン!?」

「ス、スレン様!?」

 赤ん坊はすやすやと寝息を立てて、よく眠っていた。

「どう?」

「どうって……! おまえ、何を勝手に神殿から連れ出しているんだ!?」

「あ、あなた、どうか落ち着いて下さいませ。ジルエ―ル様が目を覚ましてしまいますっ」

 赤ん坊は良く眠っている。


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