――私の手はあの頃のまま……シワひとつない。


 時が刻まれる事のない我が身。


 それがひどく悔しい。


『朝 露(レユーナ)』

『はい』

 まっすぐに見つめられた。

 私も見つめ返す。


 レユーナ、ありがとう。愛している』

『はい。私もずっとずっと、愛しています』


 目蓋がゆっくりと閉じられていく。

 最期の最期までレオナルは私を見ていてくれた。


『っ、レオナル……。あなた』


 その閉じられた目蓋に触れる。

 叫び出しそうになるのを、唇を噛み締めてこらえた。


 薄暗かった室内に朝日が差し込む。


 夜明けだ。


 私は立ち上がった。