大地主と大魔女の娘



遠目からでもはっきりと、存在を主張してくるその姿から目が離せない。

 巫女王様とその側使え、神官長に囲まれて観客席で祈るような眼差しを注いでいる。

 両手を胸元で祈るように組み、時折、俯く。

 まるで見ていられない、とでもいうように。

 その度に神官長に何やら囁かれ、持ち直しているようだった。


 恐らくは「これはあなた様のための戦いなのだから応援してやってください」だのと促しているのだろうと推測する。


 あなた様のために戦う姿を見守って欲しい。皆が皆、それを望んでいる。

 だから目をそらされたらキツイ。


 じいさんも元は騎士だった。

 だからだろう。

 戦う者たちの心を知っている。


 わぁああああ! 


 歓声と悲鳴が混じった声が上がる。


見ると一人の剣士がその場に崩れ落ちていた。勝負はついたのだ。

 崩れ落ちた者にはいくばくかの同情を寄せると同時に、けして倣うまいと誓う。

 そうだ。けっして。

 決意を込めた眼差しで、勝利をおさめた者を見据えた。

 シオン――。

 やはりアイツは勝ち進んだ。

 優雅に剣を払うと、誇らしげに礼をとって膝折る。

 そんな奴の様子に、闘志が身のうちで暴れだす。


『ああ。俺は勝つ』

『そうしてちょうだい。是が非でも』


 うっすらと微笑んで見せると、幼女は視線を先へと送った。