これより巫女王様のための、剣術大会を開催する!」
神官長の宣言の後、巫女たちの歌声で場が清められた。
まぶたを閉じ、なるべく厳かな気持ちで歌声に耳を澄ませる。
空は高く澄み切っている。爽やかな空気だ。
だが心はそうとは行かない。残念な事ながら。
歌声が止み、歩み出た一人の少女の姿にその想いは強まる。
皆そうだ。
この場に臨む誰もが、身のうちの野心に手綱を取られぬよう、気を引き締めてかかっている。
手綱を操るのは己で、引きずられる訳にはいかない。
手放すとしたら戦いの、その時だけだ。
強く拳を握り締める。
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開会の儀式を終え、順番が来るまでなるべく集中するために、控え室から出た。
ただ目的もなく歩き周り、気が付けば会場を取り囲む回廊に出た。
そこには年若い巫女や、幼い子供たちがそろって観戦していた。
今日ばかりは少々羽目を外して、事の成り行きを見守ることが許されているのだ。
ぶつかり合う剣の音におののきながらも、幼い子供らも好奇心いっぱいの眼差しを注いでいる。
見るともなしに眺めている俺にも気がつかない様子で、皆熱心に繰り広げられる戦いを見守っている。
年長の巫女達に付き添われている子らは確か、訓練の剣の音に怯えていたのでは無かったのだろうか?
ふとそんな心配をしてしまう。
『もう、だいじょうぶ。正体がわかっているからへっちゃらよ』
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突然の声に驚いて目をやれば、思いの外ずっと下の方だった。
小さな背丈は俺の腰にも届かない。
訝しむ俺に臆することもなく、幼女はにっこりと笑った。
そして当たり前のように手をつないできた。
『あなたは勝つでしょう?』
金色の髪が光に輝いていた。俺を真っ直ぐに見上げてくる緑の眼差しも、同じく。
『ザカリア・レオナル・ロウニア騎士団長殿。あなたは勝つわよね?』
幼い容姿に見合わない大人びた物言いは、どこか肌がざわめく。その仕草にも。
無邪気さを全く感じさせない笑みを浮かべて、幼女は俺の指先を持ち上げるようにして引いた。
促されるままに視線を向けると、エイメ様の姿が目に飛び込んできた。
