「俺は」
少女がそれもそうだと納得してしまう前にと、声を上げていた。
そこで一息付いてから、言葉を選び直した。
『貴方の言葉で知りたいからだ』
その一言が、獣に夢中だった眼差しをさらうことに成功した。
『何故、貴方の黒髪に深く惹かれるのか。その瞳にも。何故、初めて会った気がしないのか。貴方の抱えた物の、それよりももっと深くを』
突然の俺の告白に少女は目を見開いている。
あまりの内容に、受け止めきれないようだった。
「ほ!」
黙って成り行きを見守っていた、じいさんが膝を打った。
「どうしたんじゃ、若造! ずい分といい調子ではないか。そのような態度をお主ごとき朴念仁が取れるとは夢にも思わなんだ」
俺だって夢にも思わなかった。
古語をあまり理解出来ていないシオンも、流石に何かを察したのだろう。
目の前の少女の頬が見る見るうちに、朱に染まっていったのだから当然だった。
『貴様』
白い獣が荒々しく立ちはだかってくる。
俺の告白に顔を赤らめて恥じらう乙女を隠そうとしてなのだろう。
受けて立つとばかりに、俺も腰を上げた。
