二人で落ち着くと、リディアンナ様がお茶をいれてくれた。

 向かい合せで座って、笑いあった。

 何となく気恥しさもあったし、お互いを思いやっているのだという、信頼感もあった。

 それは何とも心強い、絆を結びあえた気がした。


「ねえ……。カルヴィナは叔父様の事をどう思ってるの?」

「お仕えする地主様です」


「それだけ? ねえ、それだけなの? お嫁さんにはなるのは……嫌?」


「恐れ多いです」


「そんな! でも理由はそれだけなの? 叔父様の事を一番大切に想ってはいないの、カルヴィナ」


 顔が一気に火照った。

 さっきあれだけ触れ合ったのだ。

 押しとどめようのない何かが、伝わってしまったのは明らかだろう。

 でも、リディアンナ様は決めつけたりしない。

 というよりも、私の言葉から確かなものにしたがっているようだった。


「私には何の財産もありません。そんな娘が地主様の隣で許されるとも、思えません」

「カルヴィナ、そんな事」

「だから私がこれ以上、不必要に近づき過ぎないようにと養女という形をとったのではないでしょうか」

「カルヴィナ! それは違う。それは違うわ!」


 リディアンナ様が立ち上がって、再び私の手を取った。


「カルヴィナ、それは違う。わたくしも何も知らされていないから、その意図は解らない。でもわたくしなりに、予測はしている。でもそれは確かではないから、わたくしの口からあなたに伝えることが出来ない。ごめんなさい、カルヴィナ。でも悪く取らないで居て欲しい。そりゃ、あなたが叔父様のお嫁さんになってくれてロウニア家に入るものだと思っていたから、先走るようなこんなマネって、怒っているの」


 そう一息にまくし立てて、私の沈みかけた心を必死ですくい上げようとしてくれた。


 でもあまりの内容に、また言葉を失ってしまう。


 お嫁さんって……。私が?


「とにかく。叔父様が迎えに来てくれるのを待ちましょう。全てはそれからよ、カルヴィナ」


 そう力強く言い切られた。


「それまで力を蓄えましょう。そうして、叔父様を迎え撃つのよ!」


 それからはリディアンナ様の言うことを聞いて、色々着せ替えをしたり、髪を編んでみたりして、毎日綺麗にするよう務めた。