大地主と大魔女の娘



落ち着くと今度は頭が冷えてきて、急に恥ずかしくなってきた。

 はっきり言えたから胸がすいたかと思えば、逆だった。

 かえって自分を追い詰めただけだ。そう気がついても遅い。

 私ときたら、地主様に対してものすごく意地悪な気持ちのまま、それをぶつけた。

 恥ずかしい。

 それこそ子供ではないか。

 何が地主様の手を煩わせたく無いから、だろうか。

 ほんの少し前の自分を、誰か止めて欲しい。


 とめどもない思考の渦の中、馬に揺られて進んでいると、これまた大きなお屋敷が見えてきた。

 門構えだけで私を圧倒するのに充分だ。


 正直もう帰りたいと、ちらりと思った。

 頭を振る。

 そこで浮かんだのが地主様のお屋敷だったので、余計に納得いかない。

 そんな自分に納得なんてするものか。

 唇を噛み締める。


 私の帰る場所といったら、森のはずなのだから。


 私は、大魔女の娘だという誇りを捨ててはいない。