私はおばあちゃんの部屋に閉じこもって、泣いた。
地主様が私の事を置いて帰ってくれる事を期待して。
じっとして息をひそめる。
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すまなかった、許してほしい、出てきてくれないか、喉は乾いていないか、腹は減っていないか、何か言ってくれないか、という事を繰り返し繰り返し、順繰りに言われた。
それでも黙ったまんまでいた。
どうしようもなく泣きすぎて、声を出す気にもなれなかった。
すごく、疲れる。
地主様と一緒にいると、予測のつかない感情の嵐に放り込まれるから、すごく疲れる。
それだけじゃない。
すごく、胸が痛くなる。切ないなんてものではない。
見えない剣でめった切りにされたも同然に感じる。
だから。
もう、嫌だ。
地主様もそのうち嫌気がさして、置いていってくれるに違いない。
そう、踏んでいたのだが、思ったよりも地主様は辛抱強かった。
言葉を発さなくなったが、一向に立ち去る気配がないのだ。
ずい分時間が経ったはずだ。
さて、どうしたものかと考え始めた頃に、スレン様まで加わったのだ。
「フールールー! レオナルは死ぬほど反省しているみたいだから、許してあーげーてー!」
ドンドン・ドンドンと扉を叩く音で調子を取りながら、スレン様は繰り返す。
すごく辛抱強く何度も何度も。
いつもの軽い調子でありながらも、そこにはどことなく真剣さも感じられた。
何にせよ、この方から感情らしきものが伝わってくるのは珍しい。
意外にも心配してくれているようだ。
「……。」
そろそろと扉に近づく。
この扉の向こうから、心配そうな気配が二つ私をうかがっている。
「もう! レオナル、何やったんだよ? 黄昏(たそがれ)ている場合じゃないだろ」
「俺が大きな声を掛ければカルヴィナを怯えさせてしまう」
「ああ、そう! そうやっと学べたのはレオナルにしちゃ、殊勝な事だ。そうやってカルヴィナ自ら出てきてくれるまで待つつもりなんだな」
「そうだ」
「どれくらい経つのさ?」
「朝方からだな」
「今はもう夕刻だ! 充分待っただろう! そうやって気配を殺して、息を潜めて根競べかい?」
「まあ持久戦だな」
「いい加減にしてくれ! お前、勤めを放棄する気か! 俺の立場が無くなるじゃないか」
そちらの心配か。
いくらか肩が落ちる気もしたが、スレン様らしくてほっとする。
より一層、焦りを込めて扉を叩かれた。
ドンドン・ドンドン・ドンドン!
「フールールー! 勘弁してくれ。レオナルは大事な勤めがあるのに、俺に押し付ける気満々だよ!」
