大地主と大魔女の娘


 扉を閉める音が聞こえた。

 やたらに響く靴音も伴う。


 ――あれ? せっかく無事にお祭りが終わったっていうのに、何だって深まってるわけ? 絆じゃなくて溝が。


 ――うるさいぞ、スレン。


 ――あー。レオナルが悪いんだろ。また突っ走っちゃったから、フルルがついて行けなかったんだ。あーあ。


 そんなやり取りが扉の向こうから聞こえてきた。


「フールール! 聞こえてるんでしょ?」

「……。」

 ドンドン・ドンドンと、扉が絶え間なく叩かれ始めた。


「フールールー! いい加減、機嫌を直して出てきてあーげーてー!」


 ドンドンと強く叩かれるから、振動が伝わって私を落ち着かなくさせる。

 扉に寄りかかるのを止めて、距離をとった。

 そのまま、じりじりとお尻を引きずるようにして、部屋の隅に逃げる。


 地主様は口ではああ言っていたが、本当はとても怒っていたのだ。


 だからああやって、杖に怒りをぶつけたに違いない。

 本当は、杖じゃなくて、私のことをああしてやりたかったに違いない。

 怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。

 それしか感じられなくなった。


「フールールー! レオナルはとっくに降参しているから! 頼むから、出てきてあげてよ」


「……。」


 返事も出来ないまま一人、首を横に振り続ける。


 扉を叩く音は止まなかった。


 スレン様の割には、意外としつこい。