鮮やかな色彩の洪水に飲まれて泣きたくなる。
カラス色が嫌でも強調されてしまう。
鏡に映った自分の黒髪だけが、その色調を訴えているかのように見えた。
この黒い髪は何もかもを飲み潰す、闇色なのだ。
「まあ! ほら、思ったとおりで赤と淡い黄色がよく似合う。かわいいわ! ……どうかした?」
鏡の中覗き込まれて、一緒に映った人物の持った鮮やかさに気後れする。
あの、あのお方と同じ明るい茶の髪と濃紺の瞳がすぐ側にあった。
思わず瞳を固く閉じてしまった。
「あの、お気使いありがとうございます。でも、その、あんまりにも分不相応で恐れ多いです。私よりジルナ様がまとうべき色です」
「どうして? 何か言われたかしら。あの愚弟に。言われたのね」
質問どころか、既にそう決めつけた発言に慌てて首を振る。
「あの、その、着慣れなくて。だから違和感があって」
「少し待っていてね?」
「はい」
待っていてもなかなか帰ってこられない。
このまま、こんなに身にそぐわない服装をしているのも気が引ける。
そう思ったから着替えにかかった。
まさかいつまでもドレスで居る訳に行かない。
綺麗にシワにならないよう、細心の注意を払って寝台に置く。
