大地主と大魔女の娘



 その状態で自らを差し出すような、恐ろしい事を訊く。


『シュディマライ・ヤ・エルマ。私を……食べるの? 食べたら飢えは収まるの?』


 俺の言葉を真に受け、その事に傷つく少女が横たわっている。

 男の力に抗えず、無力さをあらわに涙する姿を存分に嬲る。

 闇を映した瞳を占拠しているのは、紛れも無く俺という存在だと確信する。


 また泣かせてしまったという罪悪感と共に、胸に居座るのは何とも身勝手な想い。


『シュディマライ・ヤ・エルマ。満たされないのならば、その、私を食べ、食べ、ればお怒りは収まりますか……?』


 たどたどしくも、懸命に尋ねてくる。


 カルヴィナは俺をシュディマライ・ヤ・エルマと捉えているようだ。


 俺の言動が、仮面に魅入られた者の所業と信じているのだろう。


 いや。


 むしろそうであってくれという、懇願にも似た響きに愛しさと欲望が同時に募る。



『いいや。おまえの命を奪うことなど考えられない。真白き光』


 祭りの儀式の続きさながらに、繰り出された言葉に乗って返事をした。

 カルヴィナは小さく安堵して、俺に微笑みかけてくれた。

 俺であって、俺でない存在の仕業。

 その事にいくらか安心したようだった。

 獣そのものの存在の眼前に晒され、カルヴィナは生きた心地がしなかったのだろう。


 俺自身も抑えきれない自分に焦りを覚えていた。

 だが、とてもじゃないが制御できそうもなかった。

 その事に焦りを覚えつつも、野に放たれた獣を応援してやりたい気持ちも同時にあった。


 獣の思うように貪らせてやりたい。

 手綱など最初から無かったものとし、獣の本能の赴くまま突き進ませてしまいたいと願う。


 その唇を瑞々しい肌を全て、魂ごと奪い尽くしたい、というのが本音だ。