大地主と大魔女の娘

 
 自信満々に言い切る、金髪の娘の表情は真剣だった。

 先程こっそりと囁かれた報告をにおわせながら、俺を見て言葉を紡いでいる。


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 地主様。

 あなた様の魔女の娘は、何かを思い悩んでいるようですよ。

 バスケットの中味は食べきれないからと、ほとんどを人に差し入れてしまいました。

 勧めても「朝たくさん食べてきたから」と言うんですよ。


 え? 嘘? それどころか昨日の晩もあまり食べていないのですか?

 もう、やっぱり!

 あ! 大丈夫です。何やかやと味を見てくれと言って、つまみ食いはさせてますから。

 でも、心配ですね。

 ちょっと、ぼんやりしているし。

 何を気に病んでいるんでしょうね、あのコ。


 祭りが終わったら、寂しいからだけではない気がします。


 ・。・+・。・

 カルヴィナが、おずおずと伺いを立ててきた。


「地主様、その……。今日は、今日だけはここで一晩明かす事をお許しくださいますか?」


 ――エイメを祭りに参加させてやってくれ。


 頭の中で手を振って、それを追い払う。


「いいだろう」


「――えっ!?」


「やったあ! 良かったわね、エイメっ!!」


 手を取り合って喜び合う娘二人に、ゆっくりと頷いて見せる。


 カルヴィナと目が合ったが、逸らされずに済んだ。