自信満々に言い切る、金髪の娘の表情は真剣だった。
先程こっそりと囁かれた報告をにおわせながら、俺を見て言葉を紡いでいる。
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地主様。
あなた様の魔女の娘は、何かを思い悩んでいるようですよ。
バスケットの中味は食べきれないからと、ほとんどを人に差し入れてしまいました。
勧めても「朝たくさん食べてきたから」と言うんですよ。
え? 嘘? それどころか昨日の晩もあまり食べていないのですか?
もう、やっぱり!
あ! 大丈夫です。何やかやと味を見てくれと言って、つまみ食いはさせてますから。
でも、心配ですね。
ちょっと、ぼんやりしているし。
何を気に病んでいるんでしょうね、あのコ。
祭りが終わったら、寂しいからだけではない気がします。
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カルヴィナが、おずおずと伺いを立ててきた。
「地主様、その……。今日は、今日だけはここで一晩明かす事をお許しくださいますか?」
――エイメを祭りに参加させてやってくれ。
頭の中で手を振って、それを追い払う。
「いいだろう」
「――えっ!?」
「やったあ! 良かったわね、エイメっ!!」
手を取り合って喜び合う娘二人に、ゆっくりと頷いて見せる。
カルヴィナと目が合ったが、逸らされずに済んだ。
