大地主と大魔女の娘



 ミルアは地主様は素敵だと主張する。

 私が大きく賛同しないものだから、余計に強く。

 そう言われても、どう反応していいのか解らない。

 複雑な想いに絡み取られて、身動きを失ってしまう。


 さっきもまた、その何とも言い表しようの無い気持ちに襲われてしまった。


 皆、あれだけ好きなヒトの事で瞳を輝かせていたのに、地主様を見て目の色を変えていた。

 ステキねぇ――。

 ミルアは正直だ。

 率直に物を言う。

 普通ならば言いにくいことも、さらりと。


 皆も同じように感じたのだろうか。

 また何の前触れも無く抱え上げられた瞬間、胸がつぶれそうだった。


 皆が素敵だと褒め称える人に、抱え上げられるしかないカラス娘。

 それはさぞや、見っともなく映る事だろう。

 そんな惨めな想いを抱く自分が卑しくて、悲しくなった。

 でも、何でもないフリをしてやり過ごすしかない。

 いっそ構わないで欲しいと、強く願ってしまう。

 地主様とて暇ではない。

 むしろ、多忙を極めていらっしゃる。

 それでも、毎日の送り迎えをして下さるのは、何故なのだろう?


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「あ……。あんまりお役に立てていないのに、準備に掛かりきりですみません」 

 思い切って、自分から話し掛けてみた。


「村祭りの成功も地主として大事な仕事の内だからな。気にせずとも良い」


「はい。ありがとうございます」

「あまり無理はしないように」

「はい。それと申しわけありませんでした」

「何の事だ?」

「あの、広場まで迎えにきていただいたので、申しわけなかったです」

「ああ……。気にせずとも良い。だが、約束は守れ」

「……。」

 準備に向うお許しが出たと同時に、毎日帰ってくることという条件を出された。

 私の帰る場所と言ったら森なのに。


 しかも送り迎えは地主様ときている。


 申し訳ないから毎回、日が暮れるころに現れる地主様に提案している。



「あの、また明日送ってもらうのも申し訳なく思いますので、今日はここに泊まり……。」


 いつも最後まで言い切る事すら、許されない。


 なじる様に鋭く、じろりと睨まれて、無言で抱え上げられるのだ。

 馬の背に二人で乗った後に必ず「毎日帰ってくると、約束したから許してやったのだ」と言われる。


 もちろん、今日も言われた。