大地主と大魔女の娘



風に湿り気を感じて、木の葉のざわめきに耳を澄ませる。

 風が教えてくれる。

 今日はこれからどしゃぶりになる。

 あえて黙っている。

 雨に洗われて犬たちもニオイを失うだろうから、ちょうどいい狩り日和だと魔女の娘は思う。


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 出発の準備が整ったらしい地主様が、馬をこちらに進めてきた。


『今日の森の様子がどうかわかるか、夜露の魔女』


 馬上から問い掛けられた言葉は、森に入る前の慣わしによってか古語だった。


『はい。今日はとてもいい狩り日和です、地主様』



 地主様を見上げて、にこにこ笑ってそう断言した。