そのとき、花蓮が立っている廊下の下――つまり、一階の奥から奏太が出てきた。 「か、奏太さんが三人!!?」 これは、幻覚だろうか。 花蓮は、廊下に座り込んだ。 自分を助けてくれた奏太という男がなぜか三人もいる。 花蓮は、目を閉じて、もう一度開けた。 きっと一人になっていると信じて。だが、やはり三人。 「夢だ、夢だ夢だ」