脱出したのはいいが、行くあてはない。



 人間に化けて仕事や学校へ行っている家族を邪魔するのはかわいそうだし、迷惑はかけたくない。




 花蓮は、肌にすっかり染みついた獣の証に触り、それから学校の敷地を抜け出した。





 どうせ、逃げても萌やその後ろの乱舞に追いかけられて終わり。



 この悪夢のような生活を抜け出そうと思うと、生い立ちがばれ、ここにはいられなくなる。父や弟は殺される。



 なら、方法は一つ。




 それは、




   死。





 それしか、残された手段はない。