「よかったね、麻菜。これからは僕と会社でも家でも一緒だよ」
「何が一緒だよ、よ!一緒って言っても隣同士、一緒に住むわけじゃないんだから家でも一緒はおかしいでしょ」
「あー、そうか。麻菜は僕と一緒に住めなくてそんなに機嫌が悪いんだね?」
「はぁ!?」
毎度のことながら、ジョンの思考回路が理解できない。
どこをどう考えたら、そんな結論に辿り着いたのか説明していただきたい……
「それならそうと早く言ってくれれば、同じ部屋を用意したのに」
「用意しなくていい」
「そんな照れなくても」
「照れてないから」
日本に着くまで眠ることが出来ず、ジョンと他愛もないことで言い合っていた。
久しぶりの帰国が楽しみで、興奮して眠れなかったわけではない。
あんな最悪の形で日本を離れてしまったから、帰ることに後ろめたさを感じるのだ。
そして、ついに到着してしまった日本。
久しぶりに戻ってきた日本は、懐かしくて切ない……そんな匂いがした。



