騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~




仕事が終わってから、わたしたちは近くの居酒屋で飲んでいた。


ビールを飲んでいると、春菜が不思議なものを見るような目つきでこちらを見てくる。




「春菜、どうしたの?」

「ん?あー、麻菜もビール飲めるようになったんだなぁって」

「そりゃあ、そうよ。もう24歳だし。まあ、お酒は強いほうじゃないから、一杯が限度だけどね」



再びビールを口に含むと、春菜は「へぇ」と相槌を打つ。



それにしても不思議。

もう会うこともないと思っていた親友とこうして再会して、一緒にお酒を飲んでいることが。




「わたしは春菜が一緒の会社で働いていたことの方が驚きだったけどね。どこのショップに入ってるの?」

「私はショップじゃなくて、エレベーターガールをしてるの」


「エレベーターガールだったの?全然知らなかった」

「そりゃあ、お互い様でしょ。こっちだって麻菜が同じ会社で働いてたこと知らなかったんだから」



今度は焼き鳥に手をつける。


焼き鳥を頬張りながら、春菜は高校時代とそんなに変わらないなぁと思った。