騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~




それから何故か気まずくなって、会社まで無言になってしまった。




「あのさ、麻菜……」


会社に着いた時、ジョンが突然立ち止まる。


ちょうどジョンが声をかけたのと同じタイミングで、どこかで聞いたような声が聞こえてきた。




「麻菜?」

「え……?」



声をかけてきたのは、スラッと背の高い美人の女性が立っていた。


あれ……この人どこかで……




「もしかして春菜?春菜……だよね?」

「やっぱり麻菜だったんだ!久しぶりじゃない!」


「うん。久しぶりだね。元気してた?」

「もっちろん、この通り元気に決まってんじゃない」



こんなところで会うなんて思ってもみなかった。



彼女は宮城春菜(みやぎはるな)。高校時代の親友で、わたしがアメリカに発ってから一度も顔を合せていない。


彼女にも何も言わずにアメリカに行ったから、気まずいなと思っていたんだけど。


意外にも再会が普通で、少し驚いてしまった。




「ねぇ、麻菜。今夜空いてる?久しぶりにいろいろ話しましょうよ」

「わたしも話したいことがあるの。じゃあ、今夜ね」