「どうした?食欲ない?」
「そうじゃなくて……スプーン……」
「スプーン?」
「ちょっと疲れちゃったみたい」
何回かスプーンを口に運んでいると、スプーンでも重いと感じてしまって。
手も痺れているし、力が入らなかった。
「疲れた?そっか。じゃあ、こっち。俺に体重かけな」
ベッドに腰を下ろしお椀を自分の膝の上に乗せた彼は、わたしをそっと引き寄せた。
それから、わたしが持っているスプーンを手に取った。
「もっと寄りかかっていいから。もう少し食べような」
コクンと頷くと、彼はわたしの肩を抱きながらおかゆをスプーンで掬う。
それをそのまま私の口に。
「まだ食べれそう?」
「まだ食べられるけど……自分で、食べれる」



