騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~




「寝室どこ?」

「あ、一番奥に……」



寝室まで運んでもらっている間も思う、やっぱりこの感覚あの時に感じたものかもしれない、と。

わたしをそっとベッドに下ろすと、優しく頬に触れてくる。




「あの……なかも、りさん……ゴホッ」

「咳も出てきたな、あんまり無理して喋るな。どうした?」

「あの時、運んでくれたのは……仲森さん、なの……?」



「……そう、俺。たまたま倒れた時、傍にいたから」

「ありが、とう……ゴホッゴホッ、ございます」



すると、仲森さんは今度はわたしの頭を撫でながら、穏やかな声で言った。




「冷えピタ張らないとな。喉乾かないか?水も持ってくるから」

「あっ、いえ……仲森さん、あの……」

「ん?どうした?」


「わたしはもう大丈夫ですから……だから、あの……」