騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~




「すみません、遅くなって。加藤、まだ寝てますか?」

「いーえ、今目が覚めたところよ。あれから何度も見に来て、よっぽど彼女のことが心配なのね」

「あ、それは、まぁ……」



あれ……この声ってまさか……

まさかあの人なわけがないと思ったけど、顔を見せたのが予想外の人物で驚いた。


どうして……どうしてあなたがここに……




「ま……じゃなかった。加藤、帰るぞ。立てるか?」

「仲森さんがどうしてここに……」

「そんなことはどうでもいい。ほら俺に掴まって」




仲森さんが抱えるようにして、わたしの体を支え立たせてくれた。


熱で熱くなった体が、仲森さんと密着することでさらに熱が上がった気がした。


力が入らなくて立っているのもやっとという状態だったため、ほとんど彼に体重を預ける形になる。




「車まで頑張れよ。もう少しだから」



返事をするのもだるいくらい、体が言うことを聞かない。


苦しい……