騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~




「上司……」



上司って誰のことだろう……。

店長かな、それともジョン?あっ、あの場にいた幸さんかもしれない。




「その上司の方がここまであなたを運んでくれたのよ?」

「そうだったんですか……」


「そうよ。今からその方が迎えに来てくれるってことになってるんだけど、遅いわねぇ」

「む、迎えって……」




声が上手く出なくて、相手に何を話しているのか聞きとってもらえなかったみたい。

頭がボーっとする。


それよりわたし……ここでどれくらい寝ていたんだろう。




「今、何時ですか?」

「もうすぐ4時半よ。あなた、だいぶ無理していたんじゃない?7時間ぐっすりだったわよ」

「えっ……」



4時半って……いつの間にそんな時間……それよりわたし、そんなに寝ていたってこと?


皆に迷惑かけちゃったなと思っていると、扉がガラッと開く音がした。