もう閉店間際で、お客さんは誰もいない。 村田ちゃんや他の皆も気を利かせてくれたのか、いつの間にか奥に引っ込んでいた。 「びっくりした?」 「そりゃあ、びっくりするよ。今日帰ってくるなんて思わなかったから」 「ははっ、そっか」 「でも、会えてうれしい。お帰りなさい、秀ちゃん」 「ただいま」 それからどれくらい抱き合っていたか。 ここが職場だということもすっかり忘れるくらい、ずっとわたしたちは抱きしめ合っていた。