騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~




「大丈夫だよ。わたしは秀ちゃんだけだもん」


わたしも彼の背中に手をまわして、ギュッと抱きしめた。



「秀ちゃん、待ってるから早く帰って来て」

「うん、約束する。それでさ、俺が帰ってきたら、その時は……」


わたしから少し離れて、ポケットから何かを取りだした。





「結婚しよう、麻菜」


そっと、左手の薬指に指輪がはめられた。





「秀ちゃん、これ……」

「言っとくけど、返品出来ないから、それ」


少し照れたような秀ちゃんにわたしはもう一度抱きついた。