仲森さんからすれ違い際に言われた言葉が耳から離れない。
『話しがある。仕事が終わったら待ってて』
話……?話って一体……?
昔のこと……?それとも……
まさか仲森さんから呼び止められるなんて、思ってもみなかった。
わたしの顔なんて、見たくなんかなかったはずなのに。
それからは彼が言った言葉が気になって仕方がなかった。
何を言われるんだろうと不安な気持ちでいっぱいになり、仕事に身が入らなかった。
「麻ー菜ー!!」
閉店後、またいつものような盛大な呼び声が聞こえて、ジョンが勢いよく向かってきた。
それを難なくかわすと、ジョンが転びそうな勢いのまま壁に激突しそうになる。
ジョンのお陰で反射神経が高まった気がする。
「麻菜ぁ、急に避けるなよぉ。もう少しでぶつかるとこだったじゃんかぁ」
「毎度毎度、アンタは何なのよ。わたしに突進してきて」
「え~?いいじゃんかぁ。僕と麻菜の仲だしぃ~」



