離れ離れになるのは寂しいけど、だけど。


やっぱり野球をしている秀ちゃんを見るのが好きだったから。

もう一度、野球に携わっている秀ちゃんを見たいと思ったんだ。




「麻菜……なんでそれを」

「溝口先輩に聞いたの。秀ちゃんにプロ野球コーチにならないかって声がかかってるって」

「あいつ……余計なことを」

「余計なことなんかじゃないよ。秀ちゃん、お願い。引き受けるって言ってよ」



立ち止まるわたしたちの傍をもう何組のカップルが通り過ぎていっただろう。


どれくらい時間が立っただろうか。

秀ちゃんはなかなか返事をしてくれなかった。





「麻菜、俺は行かないよ」