しかも、副店長……上司である彼にこんなに偉そうに指図するなんて……
幸さん、何者……!?
仲森さんがちょうど隣に来た時、肩が触れてしまって慌てて顔を上げると、彼とバッチリ目が合ってしまった。
そして、すぐに反らされた視線……
わたしは半歩右にズレ、彼に離れながら、切なさを噛みしめていた。
「はい!今からあなたたち、無表情コンビにスマイルのレクチャーをしまーす!」
「えっ!?」
「はぁ!?お前、何を……」
幸さんの突拍子もない提案に、わたしと仲森さんが同時に声を荒げた。
スマイルのレクチャー!?
しかも無表情コンビって……わたしと仲森さんのこと―――!?
「はい!じゃあ、二人でウイスキー!どうぞ!」
幸さんはノリノリで、手を大きくこちらに振りかざしながら言う。
それとは対照的に、隣の副店長……仲森さんはグッと拳を握っていた。
これはまずいんじゃないか……と思った時には、もう遅くて。



