騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~




二人を見た時のあの絶望感。

もう味わいたくない。



「それで?麻菜はそれから俺の部屋に来たんだろ?」

「うん」

「それで二人がキスしてる姿を見たと?しかも溝口と俺を間違えたと?」

「……みたいです」


秀ちゃんの家なんだから、そんなところで秀ちゃん以外の人があんなことをしてるなんて思いもしなかったし。

色々なことが重なって、冷静ではなかったんだ、きっと。




「あれは田畑を家まで送りに行こうと思ったら、鍵を無くしたって言ってきて、それで仕方なく溝口を俺の家で待ってるように言ったんだ」