「それじゃあ、上がるものも上がらないわ。ほら、もっと楽しそうに!ウイスキー」

「ウイスキー……」




そして、また腕を叩かれる。さっきよりも強く。



「も~!ダメダメ!」

「だから、幸さん……痛い……」

「ほら、もういっか~い!!」



幸さんがこう叫んだところで、店内から誰かが戻って来たらしく、ガチャッと扉が開いた。


誰かと思って覗けば、そこには鬼のような彼が立っていたわけで……




「ギャーギャー騒いでんのはお前らだったのか。そんなところでくっちゃべってないでさっさと仕事に戻れ」

「あっ、ちょうどいいところに!副店もこっちこっち!」

「はぁ!?」



鬼のような形相で睨みながら、声を上げたのは副店長の仲森さんだ。




「ほら、いいからいいから。早く隣に並びなさい」

「はぁ……」



嫌そうにしている仲森さんの腕を無理やり引っ張って、幸さんはわたしの隣に彼を立たせた。