騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~




だめ、今ここで秀ちゃんと目を合わせたら……

泣いちゃうかもしれない。



「離して、秀ちゃん。わたし、帰るから……」

「帰る?どうして?今日はまだ帰さないよ。しっかり麻菜と話をするまでは」

「わたしは……っ」


帰りたい。

もうこんな場所から逃げたい。



「麻菜、こっち来て。昨日、どうして泣いていたのか教えて」

「………いや。話すことなんてないから」