「ジョン!どうしてわたしを指名したのよ!!」


わたしが怒りをぶつけるのは、わたしを指名した張本人。

わたしの上司のジョン・テイラー。



どうしてわたしがアメリカ人の彼に日本語で話しているのかというと、彼は日本語が得意だから。


アメリカへ来たばかりに友人となった彼は、英語が話せないわたしの通訳となってくれた。




そして、その彼が今は上司。


「STAT☆日本店」の売り上げが伸び悩んでいて、本社から売り上げを上げるべく助っ人として白羽の矢が立ったのがこのジョンだった。




「仕方ないだろう?一人が困難だと思ったら、誰か一人だけなら連れて行ってもいいって許可もらったんだから」

「だからって、どうしてわたしなのよ!!下っ端のわたしなんかより、有能な人を連れていけばよかったじゃない!」


どうしてもアメリカ本社にいなければならないという理由はない。




ただ……

送られる先が日本というのが問題なのだ。



もう二度と戻ることはないと誓った日本に行かなければならないということが……。