「すみませーん、まだ開店してないんですけどーって、お前かよ」
「悪かったな、俺で」
クスクスとからかうように言った彼の友人は、繋がれたわたしたちの手に視線を移した。
「あっ、その子。この前の子じゃん。って、なに、ビショビショじゃんか」
「だから、服借りに来た。玲さんいる?」
「いるいる。今、姉貴呼んでくるから」
すると、玲さんと呼ばれる彼のお姉さんを呼びに中に入っていった。
それからすぐに、ドタドタと騒がしい音がしたと思ったら。
「あら、あなたね!まあ!びしょびしょじゃない!」
そう言って出てきたのは、ハスキーボイスが特徴の黒髪の綺麗な人だった。
力強く手を引かれ、そのまま引きずられるようにして彼女の部屋へと連れてこられた。
「わたしの服だと少し大きいかしらねぇ。でも、ちょっと我慢してね」



