「あれ?加藤じゃん。こんなとこで何してんの?」
不意に名前を呼ばれ、振りかえると。
この前久しぶりに再会した、クマさんがいた。
「あっ、溝口先輩。どーも」
「加藤、お前なぁ。また俺のこと、クマとか思ったろー?」
「ふふっ、バレました?」
すると、先輩も笑いながら、わたしに軽くチョップをくらわした。
だって、本当にクマさんみたいなんだもの、大きくて。
「で?加藤は一人?」
「はい、秀ちゃんとデートだったんですけど。ドタキャンされました」
少し拗ねたように先輩に報告すると、彼の表情が変わった。
そして、「やべ……」と呟いた。



