「だからさ、もう少し守ってあげたくなるような女の子になりたいなぁなんて、ね」
それから冗談冗談と笑った春菜だったけれど、冗談なんかじゃないんだと思う。
「でもさ、春菜。強がるのも可愛げがないのも、それも全部含めて春菜なんだし。それが春菜の魅力なんだから」
「うわーん!やっぱり私のこと分かってくれるのは麻菜だけだよー!もう私、麻菜と結婚するー!」
ぎゅーっと抱きついてきた彼女が可愛くて、ポンポンと頭を撫でた。
「あっ、でも仲森さんに殺されそうだから、結婚はやめとく」
ふふ、と笑いながら言った彼女の冗談に私も笑った。
それからも春菜は一人ではしゃいで、わたしがそれを見守る、そんな状態が続いた。
「……スー、スー」
「……春菜、いつの間にか寝てるし」
そっと毛布をかけながら、小さく丸まって眠る彼女が子供みたいだった。
今度は春菜の片思いの相手、誰か教えてね。
そう思いながら、音をたてないように部屋の片づけを始めた。



