「加藤ー!今、クマって言おうとしたろー?」
「あっ、バレました?」
「分かるに決まってるだろ。加藤が俺のこと陰でクマさん先輩って呼んでるの知ってたし」
こんな会話を繰り広げていると、隣で秀ちゃんがプッと噴き出した。
まるで高校時代に戻ったように錯覚してしまいそうだ。
そして、この後は決まって。
「ちょっとー!溝口先輩!私には挨拶なしですか!」
ぶーぶー文句を言いだす春菜も、昔の切れは全く変わっていなかった。
「あっ、宮城いたんだ?ごめーん、気付かなかった!」
クスクスと笑いながら春菜をからかうのが、溝口先輩の日課だった。
それをまたこうして見られるなんて。
社会人になってもこうして昔の仲間と一緒に遊べるなんて。
思ってもみなかったから、嬉しさがもっと膨らんだ。



