「くくっ……はぁ、ウケる」
「秀ちゃん、もう帰ろうか。きっと今日は雪が降るよ」
「麻菜、喧嘩売ってんのか。何が雪だよ」
「だって、秀ちゃんが朝起きれるなんて、大雪が降るかも」
そう言うと、小さなゲンコツが降ってきた。
「麻菜、もうそろそろ出ないとヤバいかも」
「ヤバいって、今何時?」
「いや、時間はまだ6時なんだけど……ここ人ん家だったみたいなんだ」
「えっ!?人の敷地内にわたしたちは車を止めて寝てたってこと!?」
「まぁ……昨日は暗くてよく分からなかったんだけど、そうみたい」
てっきり空き地かと思っていたここは、違ったようで、
小さく、佐藤酒店と書かれた看板が目に入った。
「バレる前に逃げるか」
「そうだね」
慌てて、前に移動すると、すぐに車を発進させた。



