始めは、車で寝ることにあまり良い返事をしなかった秀ちゃん。
でも、最終的に秀ちゃんが折れた。
「麻菜、痛くない?」
「ふふっ、平気だって、秀ちゃん」
後部座席に移ったわたしたち。
心配そうにわたしを見つめる彼に思わず笑ってしまった。
「もし、また起きなかったら、思いっきり蹴っ飛ばしてくれていいから」
「蹴っ飛ばすって……そんなこと出来ないよ」
構わずにやってという秀ちゃんに、また笑みがこぼれてしまう。
わたしが出来るわけないのに。
「おやすみ、麻菜」
それから、わたしたしは身を寄せ合って眠りに就いた。



