「ジョンったら、麻菜さんのことまだ諦めてなかったんですか！？」


こちらもわたし動揺、呆れた様子の村田ちゃんだ。



村田ちゃんは、ジョンのことが好き。

だから、わたしの立場としては、少し複雑かもしれない。




「まあ……そりゃあ、いつか奪ってやろうとは思ってるけど」

「ジョン！麻菜さんの邪魔しちゃだめですって！今度邪魔しようとしたら、顔面パンチの刑ですから！」


村田ちゃんの言葉に、真っ先に噴き出したのは幸さん。



村田ちゃん、顔面パンチって……

しかも、ジョンも「はい……」って素直に聞いちゃってるし。



どうやらジョンは、以前に一度だけ村田ちゃんから顔面パンチを食らっているらしい。

村田ちゃんの誘いを曖昧にかわすジョンに、顔面パンチをお見舞いしたみたいだ。

しかも、思い切りグーで。




「ジョンって、村田ちゃんには弱いみたいだね」


秀ちゃんだけに聞こえるように言うと、彼は小さく笑った。